教授と姫の事件レポート1「未遂」

未遂

久留間の妻、雅美の叔母である沙英子は自宅でアートフラワー教室を開いています。

沙英子は姪の雅美をこよなく愛しており、その雅美が転校先のT市で古い殺人事件の死体発見者の一人だったこと、その事件の背景にあった山村の秘密に興味を持ってしまったのは、全て夫の裕輔の所為だと思っています(まだ読んでいない方は、是非「狂う」を読んでください)。

夏休みの間、雅美を自宅に預かることにしたものの、夫の裕輔が姪をまた変なことに巻き込みはしないかと心配しているのです。

「とりあえず、今の内なら…… 」

「そうだね、探したい本もあることだし…… 」

何度も言うようですが、決してホントに暇だとは思わないでください。

然し退屈気味だった二人は、意見も一致したところで、沙英子に煩く言われぬ間に脱出することに決めたのでした。