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わたわたと意味もなさげに両手をバタつかせ、僕の顔をのぞき込むように見上げてくる。 「そ、そんなに強くぶつかったかな?保健室、行く?」 「いや、大丈夫。それに保健室なら最初から行くつもりでいたから」 「えっ!?どっか具合悪かったの?ごめんね!付き添うよ?」 「いや、必要ないから。ひとりで行けるし」 「でもでも!」 「いや…ホント大丈夫だから。じゃあね」 断っても食い下がる女に手を振って、やっとの事で教室を出た。 暖かな日差しが射し込む廊下を歩いていると、ザワッと全身に鳥肌が立った。 女、苦手なんだよな。うわ、腕プツプツ……気持ち悪……。 そう、僕は一応ヴァンパイアではあるけど、女がすごく苦手なのだ。 あの時…ぶつかった時、本当は転ばないように支える事だって出来た。触りたくないからやんなかったけど。 男とぶつかったって、やんねぇけど。気持ちわりぃ。
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