桜の幽霊

中庭での日々

変な幽霊に会った次の日、俺は寝坊した。

と言っても、遅刻はしていない。

あの幽霊に会いに行く暇はなかったけど。

あいつ今どうしてるかな。
そう思って中庭を見たら、あいつはまた桜を見上げていた。

桜ばかり見ていて楽しいのか。
俺だったら退屈過ぎて寝るな。

………そもそも、幽霊って寝るのか。
どうでもいいことだけど、気になるったからいつか聞いてみるか。

そういえば、あいつなんで学校の中庭なんかにずっといるんだろう。

退屈なら外に行けばいいのに。

………もしかしたら、地縛霊とかいうやつなのかも。

というか、幽霊って『この世に未練があるからこの世にとどまっている。』みたいなイメージがあるけど、実際はどうだろうか。

あいつは全然そんな感じには見えなかったけど、実は死に切れない程大きなの未練があるのかな。

もしそうだとしたら、俺と同い年くらいのやつがそこまでしてでも叶えたい願いってなんだ？

たしかに、俺も今死んだりしたら未練なんていくらでもあるけど、だからと言って化けてでも叶えたい願いなんてない…と思う。