伝説の4人

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文化祭開催日 早朝からよろずサークルの部室内は慌しい。 文化祭でやるイベントなどの最後の調整を行っているのだ。 総勢50人はいる室内ではあちこちから会話が飛び交っていて賑やかすぎるほどであった。 「いよいよ今日は学祭ですね! 去年より盛り上がるといいんですけど」 このサークルの部長である一橋創(ひとつばしはじめ)はサークルメンバーの言葉に満面の笑顔を浮かべる 「今年は2代目も居るし、初代も来るらしい。 賑やかになることは間違いないだろうね」 そう答えながら一橋は部室内の一角に置いてある高級そうなソファーに視線をやった。 そこでふんぞり返って座っている男は一橋の言葉に強面の顔を歪めて眉間に皺を寄せていた このサークルの2代目部長、白井弥王(しらいみおう)である。 「初代が来るなら帰るぞ。 あいつ等には会いたくない」 素早く帰り支度を済ませようとする弥王に一橋は静かに首を横に振る。 「それは無理ですよ」 地を這うような低い声が弥王の真後ろから聞こえたのは一橋の発した言葉とほぼ同時 『帰すと思うのかよ糞餓鬼』 聞き慣れた声に背筋が凍りつくような感覚がかけあがる。 「ゲっ・・・・黒峰・・・・・さん」 時既に遅し、弥王の背後には彼が最も会いたくない人物が凶悪な笑みを浮かべて仁王立ちをしているではないか・・・ それを視界にはっきりと映した弥王はガクリと項垂れた。 彼の視界に映ったその人物は 黒いショートの髪と鋭い切れ長の瞳 整った容姿であるのは間違いないが、平均より高いであろう背丈とその凶悪顔のせいでどうしても怖い印象を与えてしまう。 初代部長の黒峰亮(くろみねりょう) 弥王が最も関わりたくない人物のうちの一人である。 『馬鹿だねぇ 亮ちゃんから逃げようなんて思わない方が身のためなのにさ』 途端、明るい声と一緒に黒峰亮の後ろからニュッと小さな影が現れる・・・ ふわふわの赤茶色の髪とくりくりの大きな瞳 整った顔は幼さをたっぷり残していて小柄なその体型と合わさり可愛らしいと言う言葉しか浮かばないであろう少女 その少女を前に再度背筋が凍る弥王。 そしてサークルのメンバー達はというと別の意味で背筋を凍らしていた 「小学生が入ってきてる!? 駄目だよ君!!まだ学際は始まってないんだ」 そう誰かが声をあげると小学生と言われた少女は不機嫌そうに頬を膨らませた。 『小学生じゃないやい! 成人したうちに何て事言うのさ!』 弥王はそんな少女の言葉を右から左へと流して呆れたようにため息を溢し、それから両脇を掴み持ち上げてソファーへと座らせる。 「涼香・・・・これでも食べて黙れ」 スナック菓子を渡し、ぷりぷり怒っている少女の機嫌をとっていた弥王に この場の誰もが「妹さんですか?」と問いかける。 彼の少女への対応は手馴れていて 顔も良く見れば少し似ている 妹だと間違えるのも無理はない が、その結論は当然ながら間違いである。 「あれは俺の・・・姉だ」 涼しい顔をしながら弥王は衝撃の一言を放った・・・
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