アタシの血を吸いなさい

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「アタシの血を吸いなさい。これは命令よ」  背中を向けた美女が、髪をかきあげて、その美しいうなじを晒している。  月並みないい方をすれば、肌は雪よりも白く、羽毛よりも柔らかそうであった。  ゴクリ……。  意識もしないのに喉が鳴る……。  いや、だがしかし! ちょっと待て!  最初の台詞がおかしい……。 『血を吸いなさい』  こういわれた人間は、じゃはいそうですか、それじゃあまあ、お一つ……とはならないだろ!?  目の前の女の子がどれだけ綺麗でも、その白い肌にどれだけ心ときめいていても、それとこれとは話が別。  背後から抱きとめて、口を開き、歯を突き立てて血を吸えといっているのだ。目の前の女は……。  俺は何もいえずに、ただその女の子の瞳に釘付け。目をそらすことも、指一本動かすことも出来ないでいる。  わかった。  今、話してやるよ……。  何故、こうなったか?
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