アタシの血を吸いなさい

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 あれは、夏の暑い一日だった。  大学もなく、バイトも今日は入れていない。気だるい夏休みのなんでもない一日。  家にいるのも暇だっていうんで、俺は一人図書館に向かっていた。  2年前にリニューアルされた市営図書館は綺麗だし、涼しいし、意外に掘り出し物の本もあるし、何より……美人の図書館の職員さんがいる。  ……長い夏休みの初日、早々に課題のレポートを終えるため、リニューアル後初めて訪れたその図書館の中で俺は彼女を見つけたんだ。  髪型はポニーテール、透き通るような透明感のある白い肌に、これまた絵画に描かれた美女のような整った顔立ち。  後ろで縛られて残った髪が、肩の辺りで揺れている。
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