ルシファーⅡ

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「ん~……何だか良くわかりませんが。万事オッケーみたいですね?」  晶君も笑顔を零す。  まあ……これで良かったのだろう。 「さて、一足先にオレ様は地獄に戻るとしよう」 「行くのか?」 「ああ。アストラル体を飛ばすだけでも多少なりと力を使うからな。無駄には出来ん」 「そうか……」  私が受け答えをしていると、ルシファーが晶君を見下ろす。 「小娘。お前の漫画――期待しているぞ」 「任せておいて下さい! …………多分」  ……オイ。  胸の前で両の拳を握ったわりには不安になる返答だな。 「フッ。ではさらばだ」  私がそんな事を考えていると、ルシファーがその場で煙の様に消え去る。まあ、アストラル体である。飛び去るよりかはそちらの方が自然か。 「良し。では我々も帰るか」 「はい!」  晶君から確認を取り、私達は控え室を後にした。  控え室を出て、魔道裁判所の出入り口に差し掛かった時だ。  まるで私達が来るのを待っていたかのように、一人の男が道に立ち塞がる。 「何だ……来ていたのか?」  私の問い掛けに―― 「まあね。僕もこの裁判に多少なりと係わっているからさ。久しぶりに傍聴させてもらったよ」  ――キースが答えた。  私は晶君の背にある勝利の剣に一度視線を送る。  ――なるほど。そういう事か。  私は視線を戻し、自嘲染みた笑みを浮かべ。 「これは情けないところを見られたな」 「情けないところ? 何の事だい?」  お前もそれを言うか……。 「決まっているだろう。敗訴の事だ」 「ああ。それか」  キースは顎のラインに右手の親指と人差し指を揃える。 「それだったら別に情けないって事はないんじゃないかな?」  本当にルシファーと同じ様な事を言うな……。 「何故そう思う?」 「だってホラ、僕は君が負けているところなんてしょっちゅう見てるからさ。つい先日だって僕に負けたばかりだろ?」  言ってカラカラと笑い出すキース。  ……そういう事か。ルシファーとは全然違うな。怒りにも似た感情が込み上げてくるぞ!  私が右手の拳をプルプルと震わせていると。 「キースさんてナンだカンだ言って、性格悪いですけど優しいですよね?」
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