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「偶然だなー。こんなところで会うなんてさー。……ばくっ。モグモグ」
樺羅杜学園から程近いコンビニの前。制服姿のまま、ショートヘアの黄名さんがコンビニ袋をまさぐりながら、パクパクモグモグしている。
今日会ったばかりだけど、おにぎりの件もあるし、友好的にいけそうだったので、俺もやあと話し掛ける。
「黄名さん。コンビニで昼飯?」
「そうなのだ。寮の食堂は明日からでしょー? 仕方ないのだ。……あむっ……。おいしー!」
俺の姿を見つけ、多少の感動のようなものは心のどこかで生まれた様子な彼女。
しかし、手にしている肉まん程の価値はなかったようで、黄名さんは、にこやかに肉まんをモグモグ。
あまりにも美味しそうに頬張っているものだから、俺も余計に腹が減ってしまった。
「このコンビニには、特製ピリ辛肉まんが売っているのだ! 超オススメなのだ!!」
そう言っている間に、彼女はその特製ピリ辛肉まんを1つ平らげてしまった。
「凄く美味しいのだ! 2つ買って正解だったよー。……あむっ……」
彼女はコンビニ袋に手を入れ、また同じ肉まんを頬張った。
………。
それを見て俺は思う。
この子を落とすのは、わりと簡単なんじゃないかと。
何故だかそう思った。
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