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「失礼します」
普段はまず訪れる事はないだろうと思われる、第1会議室。
その廊下に誰もいない事。職員室にいた先生に尋ねても……
「詳しい話は分かりません。とりあえず、会議室に行って下さい」
ただそれだけを言われた。
嫌な予感。あんまりよさ気な事は起きなさそうだなと思いつつも、俺は第1会議室の扉をゆっくりと開けた。
「ごめんなさいね、いきなり呼び出したりして。驚いたでしょう」
扉を少しだけ開けて、顔だけで覗き込んだ俺に話し掛ける、スーツ姿の眼鏡を掛けた女性。
年齢は、20代半ば。25歳くらいだろうか。
腰まで伸びている真っ黒のツヤツヤした髪の毛。芯の通って落ち着きのある声。これぞ正統派美人という美しい顔立ち。
眼鏡の奥に見える、艶のある大人っぽい瞳がさらに魅力的だ。
そして、これでもかと膨らんだものがブラウスの中にしまい込まれながら、パイプ椅子すらも上品に座るその姿はまさにいい女。
てっきりゴリ顔の怖い体育教師でも待ち構えているんじゃないかと、内心ビクビクしていた俺は、正直面を喰らった。
そして何より、その女性からは、他の人には到底ないような、不思議な雰囲気がある。
しかし、何故だか強烈な違和感があった。
この世界の人とは違う強烈な違和感が。
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