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「桃浦さん……? 桃浦透美さん……!?」
ジルハ先生が教室の至る所を見渡しながら、5人目の魔法少女の名前を呼ぶ。
他のクラスメイト達も、何処に行ってしまったのかと、辺りを見渡している。
真実を知っているのは俺だけなのだろうか。
まだ自己紹介をしていない、黒いセミロングの髪の毛をサラサラとさせた女の子。
5列ある1番後ろの席を立った彼女は、誰にも気づかれないまま教壇へと到着した。
俺だけはずっとその子を見ていた。誰にも存在を黙認されず、気まずそうに下を向くその女の子を。
「桃浦さん! いないの!? 桃浦さん!?」
教壇に立った1分を経っても、その女の子は気付いてもらえない。
俺は、その寂しそうな女の子の姿を見ていたたまれなくなり、救いの手を上げる事にした。
「ジルハ先生。今、桃浦さんは教壇に立っているようですが……」
「えっ……?」
振り返ったジルハ先生がぎょっとした表情で桃浦さんを見ていた。
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