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さっと手を洗ってトイレを出た俺に、第1待ち人発見。もじもじした様子の女の子がトテトテと俺の元に歩み寄ってきた。
「あの……。さっきはありがとうございました……」
「君は……桃浦さん!」
「……はい。よくお分かりで」
俺が名前をズバリ言い当てると、桃浦さんはにっこりと笑った。
自己紹介タイムの時、教壇に立ったのに、俺以外の誰にも気付いて貰えなかった5人目の魔法少女だね。
「………今から教室に戻りますか?」
彼女は少し俺の様子を伺う感じでそう訊ねてきた。
「うん。ほんと喉乾いたからジュース買いに行きたいけどね……。勝手な事をしたら、また楓に蹴っ飛ばされそうだから止めとくよ」
「え!? 蹴っ飛ばされちゃうんですか!?」
残念ながら、桃浦さんは俺に用があったとか、愛の告白をしたいわけじゃないらしい。
1階の突き当たりにあるトイレからA組の教室まで、のんびりお話をしながら歩く事になった。
「私、昔からよくあるんです。待ち合わせしている友達となかなか会えなかったりとか、レジに行っても店員さんに気付いてもらえなかったりとか……」
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