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「あはは……。それは災難だね」
「小さい頃、遊園地に行った時も、両親が私を置いたまま帰ってしまったり……」
「そうなんだ。しかし、どうしてそんな事になるの? 1度死んでしまって幽霊になったわけでもあるまいし」
俺がそんな冗談をかますと、桃浦さんは一瞬強ばった表情をした後に苦笑いした。
しかし、親にも認識してもらえないとは。
一応普通に可愛い子なのに……。
「だから、凄く嬉しかったんです。新井君は私の事をちゃんと見ていてくれるから……」
そう言って僅かに頬を赤らめる桃浦さん。
自己紹介の時に、俺が救いの手を差し延べた事を言っているのだろう。
なんだかかわいそうに思えてきた。
「3年間、よろしくお願いしますね!」
桃浦さんは、そう言ってとびっきりの笑顔を俺に見せる。
彼女は魔法少女だ。
つまり、究極を言えば、魔王である俺の敵。
桃浦さんにしてみれば、俺は倒すべき標的。
憎むべき存在であるはずなんだ。
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