俺の高校生活は誘拐されて始まった。

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俺の高校生活は誘拐されて始まった。

「1年6組の新井魔人君。至急、第1会議室まで来て下さい。繰り返します。1年6組の新井魔人君……」 予想もしていない突然の呼び出しだった。 栃木県は宇都宮市にあるごくごく普通の県立高校、雀宮高校に通う俺。 至って平凡な生活を送っている。 親が両方とも公務員という家に生まれ、特に不自由な思いもする事なかった。 そして高校の入学式が今まさに終わったタイミングで俺は放送によりわざわざ呼び出された。 どうしてこんなタイミングで……。 俺はそんな疑問を抱えながら、まだ落ち着きが見られない1年生の教室から1人廊下へ出た。 中庭が見える窓が全て開けられている。 春の心地よい風が吹き抜ける廊下を会議室に向かって歩く。 他の教室からは、それぞれ教師の声が聞こえており、既に授業が始まっているようだ。 廊下側に座っている見知らぬ同級生達。 その何人かと目線が合うと、若干ながら気まずい気持ちにもなった。 何か悪い事でもやったっけかと、自問自答をしながら、俺は足早に会議室へと向かった。
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