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「一人であんな暗くて、殺風景なところに入るのが、どうしてもさみしくて。」
下を向いてしまった彼女は再びその瞳に涙を湛えていた。
「それなら、僕が毎日君に会いに行こうか?」
悪魔の提案に、少女ははじかれたように顔を上げた。
信じられないというふうに、少年の声のした方を向く。
「そんなことできるの? 人は入れないのに。」
「何とかして、行くよ。約束。」
少年は自分ならいけるのではないかと考えていた。
なんせ自分は人間ではない、悪魔なのだから。
少女の小さな小さな小指を悪魔は自分の小指に絡ませて、再度言う。
「約束するよ。」
すると、少女はまぶしいくらいに笑って見せた。
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