また、いつか

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少年が少女を見つけたのは、本当に偶然だった。 対悪魔用の結界が張り巡らされる国々を避けながら、自分という存在を嘆いていたときに、とある国の外れの塔の下で悪魔は彼女に出会った。 小さな体を丸めて、さらに小さくなって少女は泣いていた。 “悪魔が人間に害をなす” 一部の悪魔が人間に危害を加えたために、流れた噂。 悪い噂というのは広まるのが速いもので、次々と各国は悪魔対策を練っていた。 悪魔の少年はその一部とは全く関係がなかったが、悪魔だというだけで、理不尽にも人間から攻撃を受けていた。 仲の良かった人間にも、裏切られ、身体も翼もボロボロで、そして何よりも心が涸れていた。 剣も持ってはいたが、それを人に向けようとは思ったこともない。 少年は人間が大好きだった。 けれども人間は、もう悪魔には誰一人として近づいても、話しかけてもくれない。 悪魔は本来群れないものだ。 そう言った意味では少年は例外だった。
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