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少年は最初、彼女が若草色のドレスを着ていたために、森の妖精か何かかと思っていたが、それにしては、前に見た時よりもずいぶん大きいことに気づく。
さらには、薔薇色のリボンで飾られたキャラメル色の流れるような髪。
森にはそんな髪色の妖精はいなかったはず。
「誰?」
草木に隠れ、完全に気配を消して彼女を見ていたはずなのに、少女は、悪魔の方を向いて、そう問いかけた。
「大丈夫、わたしは、あなたを傷つけたりしないから。」
「だから」と少女は続ける。
「出てきて?」
悪魔はおどかしてやろうと思った。
いつも彼が出ていくと人間は逃げるか、攻撃してくるか、どちらかだったが、あの少女なら、間違いなく前者だろう。
半分自棄(やけ)になって、勢いをつけて、彼女の前に現れる。
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