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「僕が怖くないの?」
「どうして?」
少女は、首を傾げる。
「目の見えないわたしを傷つけるつもりなら、もうしているはずでしょう?」
「それに」と言う。
「あなたの声、とっても温かいもの。怖いなんて思わない。」
悪魔はどうしていいかわからなかった。
たとえ彼女の優しさが、言葉が、自分の姿が見えていないからこそだったとしても、それでも、心の底からこみ上げてくるものが、気づいたら涙となって溢れて止まらない。
嗚咽を漏らすと、次から次へとこぼれる雫に触れるように、彼女が手袋をはずして悪魔の顔に手を伸ばした。
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