また、いつか

8/18
前へ
/18ページ
次へ
「泣かないで」 優しい言葉。 優しい声。 優しい心。 温かい手。 全てが、乾いた彼の心に染み渡っていった。 本当は、またこんな風に誰かと触れ合いたかったのだ。 顔を撫でていた少女は、何かに気づいたように、顔にかかっていた悪魔の髪のひとふさに触れる。 「髪、長かったのね。見えないから、わからなくて……。」 そう言って、ドレスのポケットから彼女がしているのと同じリボンを取り出す。 「よかったら使って。わたしは今使っているのが、最後だから」 少し悲しそうに彼女はそう言った。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加