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「泣かないで」
優しい言葉。
優しい声。
優しい心。
温かい手。
全てが、乾いた彼の心に染み渡っていった。
本当は、またこんな風に誰かと触れ合いたかったのだ。
顔を撫でていた少女は、何かに気づいたように、顔にかかっていた悪魔の髪のひとふさに触れる。
「髪、長かったのね。見えないから、わからなくて……。」
そう言って、ドレスのポケットから彼女がしているのと同じリボンを取り出す。
「よかったら使って。わたしは今使っているのが、最後だから」
少し悲しそうに彼女はそう言った。
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