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【梨音side】
「そういえば……」
「どうしたの? 智樹」
教室で、智樹が何かを思い出したかのようにぼやいた。
因みに、いつも道理周りからの視線は痛い。
「いや、さ……。今思い出したんだけどな?
月宮先輩って、確か犬並みに鼻がいいんだよな。
お前、昨日匂い嗅がれたりとかしなかった?」
「……」
その言葉で思い出すのは、月宮先輩に抱きしめられた瞬間。
「……智樹、今香水か何か持ってない?」
「あー、やっぱ嗅がれた?
これならあるけど……」
智樹の手の中には小さなアトマイザー。
「これ、借りるわ」
俺は急いで振り掛ける。
月宮先輩が昨日本当に嗅いでいたのなら、近々俺の前に現れるだろうから。
念には念を、ね?
俺、夜の顔知られたくないし。
「梨―音ちゃん♪」
現在、放課後。
いつもの様に、生徒会の二人……じゃない!?
どうやら今日は、月宮先輩も居るようです……((汗
「……」
取り敢えず、スルーしましょう♪
「……梨音………!」
「うわっ!?」
無視してたら、後ろから何かが飛びついてきた。
どうやら月宮先輩らしい。
ああ、しっぽと耳が見える。
月宮先輩は俺にすりすりと擦り寄り、くんくんと嗅ぐ。
……めっちゃ嗅いでる。
「……あのー、月宮先輩?」
「……なに?」
「……俺、そんなに変な匂いします?」
そう聞くと、月宮先輩はふるふると首を振る。
「い……匂い……香水………?」
「あ、はい」
「そ……」
相変わらずクーデレだね。
可愛いね。
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