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一瞬、その事に意識を逸らしてしまった時。
自分の後ろに一つの気配。
まずい、と思った。
思って、咄嗟に振り返る。が………
牙「ヒャッハッ♪」
そこに居たのは、
狂ったような、愉しそうな表情で
鉄パイプを振りかざす
牙の 姿
ヤバい事はわかってる。
それなのに、身体がまるで人形の様に固まり動かない。
俺は目を見開いて、自分に向かって落ちて来る物を………見ているしか、なかった。
死を覚悟した、その瞬間 ――――
『 龍斗! 』
ここにあるはずの無い声と、
ここにあるはずの無い、“銀”
それに振り下ろされている筈の物が遮られた瞬間
ドゴッ
鈍い音が、静寂を切り裂いた。
・
鉄パイプは俺を遮った、否、庇った者の頭部へと直撃し、そこにあった銀が、ずり落ちる。
変わりに舞うのは金糸で…………。
それは、膝から崩れ落ちた。
「 梨音! 」
俺は咄嗟に抱き留めた。
愛しい、その人を。
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