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【梨音side】 俺はあれから、ずっと街を放浪としていた。 ホテルなんて使ったら、簡単にアシがつく。 昼夜不良達が走り回っていて、中々休息が取れないものの、人気の無い路地の中で適当に眠り、身を潜めた。 見かける不良は、皆何かを探すようにしていた。 自意識過剰でなければ、おそらく探しているのは俺だろう。 この一週間。 一瞬足りとも気が抜けず、精神を擦り減らした。 食事も、コンビニで買ったカロ●ーメ●トやウ●ダイ●ゼリーで済ませるだけ。 この逃亡生活に、心も身体も限界に近づいていた。 はっきり言って、この街を離れてしまえばここまで苦労しないのだと思う。 しかし、頭ではわかっているのに、心がそれを拒否していた。 ……俺は、見つけてほしいのか? そんな思考が時折過ぎる。 我ながら、馬鹿だと思う。 見つけてほしい癖に逃げて、見つかりたくないとも思っている。 自分でも答えの見えない思考に苦笑いしていると、辺りが騒がしくなった。 何事かと思い、そちらに足を向ける。 そこに居たのは…………   修羅 と 喰狼 の 幹部達 。 俺は咄嗟に身を隠し、気配を消す。 そして耳を傾けた。 久々に見る龍斗は、少し窶れ、表情には焦燥が浮かんでいた。 愛しい人のそんな姿に、胸がズキズキと痛む。 本当は、今直ぐにでもここから飛び出して、あの人を抱きしめたい。 そう想うのに、体はどうしても動かなかった。
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