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話しの内容は、どちらも俺を探している様だったが、急に不穏な空気が流れたかと思うと、喧嘩が始まった。 周囲にあった複数の気配も飛び出して行き、修羅の面々に向かって行く。 喰狼の幹部だけならなんとか出来ただろうが、そこに下っ端も加わり、幹部しかこの場に居ない修羅が圧倒的に不利に追い込まれる。 いくら気配を探っても、近くに修羅の下っ端の気配はなく、助けを呼べる状況ではなかった。 俺は出て行きたい気持ちを抑え、その喧嘩を、あの人を見守る。 ふいに、龍斗に攻撃していた牙が戦線離脱し、近くにあった何かを拾った。 ―― え……? 手にした何か――鉄パイプを持ったまま、牙は龍斗の後ろへと近づく。 ―― うそ、でしょ……? ―― ちょっと待ってよ………。 ―― ダメ! それは!!      「 龍斗! 」 鉄パイプは、スローモーションで龍斗に振り下ろされていく。 俺の体は勝手に走り出し……   ……龍斗の前に滑り込んだ。 突然の事に、体を硬直させていた龍斗の瞳が驚愕に染まり、俺を映す。 その直後   鈍い音が体を駆け巡り、衝撃に耐え切れず、膝から崩れ落ちた。      『 梨音! 』 愛しい声に名前を呼ばれ、俺は暖かな温もりに抱き留め包まれる。   ああ なんて幸福なんだろう?
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