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遠くからサイレンの音が聞こえて来る。
きっと、誰かが呼んでくれたのだろう。
「クスッ……もうすぐ、お迎え、だね………?」
辛気臭いこの空気を吹き飛ばしたくて、あえて軽口を叩く。
龍「縁起の悪い言い方すんじゃねぇよ」
龍斗に怒られた。
ま、そりゃそうか。
………生きたい。
………生きたいよ、龍斗!
………貴方と共に、生きたい!!
……死にたくなんて、ない………!!
今、心の底からそう想う。
「死ぬ、つも、りは、無いけど………ちょっと、疲れ、ちゃったや…………。
少しだけ、眠るね………?」
龍「ああ、ゆっくり休め。
お前が起きるまで、ずっと傍に居るから……。
……俺が、お前の傍に。
だから、お前は安心していればいい」
目覚めた時に、貴方が居る。
きっと大丈夫。
俺は、否、あたしは死なない。
「あり、がと………」
あたしはゆっくり目を閉じる。
目が覚めたら、決着をつけよう。
逃げてきた事、全てに………。
あたしはそこで意識を手放した。
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