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【龍斗side.】
―― ピッ ピッ ピッ ピッ
薄暗い部屋中、無機質な音が鳴り響く。
一人横たわる美しい金糸を、そっと撫でる。
頭には痛々しく包帯が巻かれていた。
「梨音……」
梨音は今、安らかに寝息を立てている。
あの後、救急車で病院に運ばれた梨音は、長い手術を終え、一命を取り留めた。
出血も多く、危険な状態ではあったが、なんとか後遺症は免れそうだという事だった。
俺は今、一人で病室に居る。
他の面子は今だに混乱していたため、病室からは出した。
―― ガラッ
小さなノックの後、ドアがスライドされる音が聞こえ、振り返る。
祐「龍斗……」
そこに居たのは裕也だった。
裕也は、俺を族の時と普段で呼び分けている。
つまり、今は俺自身……天宮龍斗に話しがあるということ…………。
「どうした?」
祐「みんな落ち着きました。
……説明、してください」
「……わかった」
俺は、梨音の頭を一度そっと撫で、それから病室を出た。
外に居たのは、修羅と喰狼、それから、武田と羽崎だった。
智「会長! これはどーゆー事だ!?」
「くっ」
武田に胸倉を掴まれる。
そこには、怒りを宿した瞳があった。
瑠「ダメだよ智樹!」
智「うるせぇッ!
一発殴んなきゃ気がすまねぇんだよ!!」
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