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今にも殴り掛からんとする武田を、羽崎が必死に止める。
瑠「何があったとしても、そんなこと梨音は望まないって智樹だってわかってるでしょ!?
1番傍で見てた智樹なら、梨音を悲しませるだけだって!!」
智「っ! ………クソッ!!」
乱暴に手を離し、武田は悪態をつく。
俺は周りを見渡した。
そこには、一様に困惑と悲しみ、それから心配の色を浮かべていた。
……話さなくては、彼らに…………。
俺は決意を固め、話し始める。
「まず、何から聞きたい?」
祐「龍斗、貴方は琉季が梨音だって知っていたんですか?」
「……ああ」
闇「おい、その梨音ってのはなんだ?」
そこで、喰狼が梨音を知らないことを思い出した。
……そういえばこいつら、学校関係者じゃなかったな…………。
「如月梨音。
俺達の学校の生徒で、理事長の如月京の兄弟だ。
因みに、そこに居る武田は梨音の同室者」
華「じゃあ、そっちが本当ってことか………」
俺は静かに頷き、修羅の面子に向き直る。
「俺が琉季が梨音だと知ったのは、梨音が消える二日前だ。
いや、知ったと言うより気づいた、だな………。
俺はアイツと、本当のアイツを見つける約束をしていたから………。
アイツが生徒だってことはわかっていたからな」
泉「なっ! 知ってたのぉ!?
じゃあなんで教えてくれなかったのぉ!!?」
修羅の面子は皆、怒りで瞳を揺らしていた。
だが、それは仕方がなかったんだ………。
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