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月「私は梨音様の専属執事をしております、瀬戸月夜と申します」
坦々と言葉を並べる京と違い、瀬戸は恭しく一礼する。
毎度の事ながら、そういった行為が様になる男だ。
京「さて、話しの前に。
俺の大事な梨音に、怪我させたのは………誰だ?」
ギロッと俺達を睨みつける理事長。
それに、自ら俺は声をあげる。
「俺です。
梨音は俺を庇って怪我をしたんです」
京「ほう?
で、殴ったのは?」
牙「……それは、俺だ」
牙も罰が悪そうに名乗りをあげる。
京「そうか……それじゃあ!」
そう言った瞬間、理事長の腕が振り上がる。
―― ベシッ バシッ
渇いた音が2回立て続けで鳴り、俺と牙の頬に鋭い痛みを残す。
理事長が俺達に平手打ちをしたのだ。
京「今回は、これで帳消しにしといてやる。
天宮、有り難く思えよ?」
「はい、わかっています……」
頬にじんじんとした痛みが残っているが、こんなものは梨音の怪我に比べてたいしたことはない。
本当は、この程度で済まされるべき事ではないのだから。
京「さて、話しを戻すか。
ここに居る学園関係者は知っていると思うが、梨音を学園に入れたのは俺だ」
闇「蘭学は男子校だったよな?
話しの流れから、ギンが女だってのはわかったが………」
闇が訝しげに眉を寄せる。
京「ギン? ああ……夜の通り名か。
そうだ。ウチは男子校だよ」
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