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闇「じゃあ、なんで女であるアイツが入れる?」
京「それは理事長権限だ。
勿論、女である事は秘密にして入学させた。
だから、今まで男としての振る舞いをしていただろう?」
祐「確かに……。
外見的に女性に見える事もありましたが、女性であると疑ったことは一度もありませんでした」
裕也が呟き、周りも頷く。
俺も、最近まで男だと思っていたからな。
振る舞いも、下手な男よりも男らしいし、更には、男子校という事が、その認識に拍車をかけていた。
京「そうしてでも………俺は如月からあの子を引き離したかった…………」
ポツリと呟くように、理事長が言う。
その目は苦しげで、何処か遠くを見ているようだった。
京「天宮、お前は月夜から少し聞いていると思うが、如月に梨音の居場所はない」
華「居場所が、ない……?」
目を見張って言う華鬼に、理事長は頷く。
京「お前達、今まで如月財閥に娘が居ると聞いたことが一度でもあったか?」
祐「……いいえ、ありません」
俺達は顔を見合わせ、それから代表して裕也が答える。
京「理由は……あの子が両親から存在を黙殺されていたからだ」
全『っ!!?』
瀬戸から話しを聞いて予想はしていたが、事実を突き立てられれば、やはりキツイものがある。
まるで、心臓に杭が深く突き刺さったかの様な衝撃を受けた。
京「梨音は………あの子は、今まで一度も両親の愛情を受けたことが無いんだ。
ただの一度も、な………」
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