第1部

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 そーいや、前にもこんなような事、あったっけ……。  ベッドの中に入って、天井を見上げる。  確か7、8年前……? 小3の夏だっけ……  海辺でカニの後をつけたりして、一人で時間をつぶしてたんだよな……。  そう、今日と同じ夕暮れ時で。  もうそろそろ帰ろうかと、家の方に顔を向けたら、女の子が立ってたんだ。  俺よりちょこっと背が低くて、スラリとのびたストレートロングな髪。  服を握りしめた手。唇をきゅっと噛み締めて、俺の後ろを睨みつけている潤んだ瞳。  ……今でも鮮やかに思い出せる。  思わず凝視。いわゆるガン見。  眼が離せなかった。
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