第1部

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 その子がいきなり涙をこぼしたから、なんだけど……。  慌てふためいた俺は、間違った言葉を選択してしまう。  ……弱いんだってば。涙ってやつに。 「お、お前っ…。なに泣いてんだよ」 「うっさいっっ。ジャマしないでよっ」  ギリって音がするくらいの勢いで、俺を睨みつけててん…さらに泣きわめくという。しかも、海にザブザブ入って行くし。 「もー、せっかくいい場所見つけたのにぃ」 「ち、ちょっと、待てっ。どこ行く……」  焦って、腕を掴んで引き止めると 「海ん中。誰も入ってこないとこに行きたいの」
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