53人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
一夫多妻制のゴルナ族。
金子のギルには多数の兄弟、姉妹がいて跡取り争いをしている。
だがギルは金子…金子は無条件に跡取りとして決定される、それ故にギルは他の異母兄弟達や異母姉妹達に嫌われる存在であった。
小さい頃から異母や兄弟、姉妹達から嫌がらせを受け族長の跡目を継ぐ事を極端に嫌っていたのだ。
そしていつしか閉鎖的な里を出て、外の世界を旅して回る事を夢見るようになっていた。
グリンブルスティの刀身を見ていたギルの目に何か強い意思が伺えた時だった。
「俺、決めたよ、グリンちゃん。」
『あら、何を?』
剣になったグリンブルスティに話しかけると、ギルの心にグリンブルスティの声が響く。
「今夜だ、今夜里を出る!」
『また急ね。 …決行は一週間後の夜じゃなかったの?』
「煽ったのはグリンちゃんでしょ」
ギルの心に響くグリンブルスティの声は何とも呆れたようだが、ギルはお構い無しに続ける。
「よーし! そうと決まれば準備しないとなっ! グリンちゃん手伝って!」
持っていた大剣のグリンブルスティを空中に投げると、再び光り輝いて女性の姿のグリンブルスティが現れた。
最初のコメントを投稿しよう!