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屋敷から軍部までの道程はそう遠くない、しかし、それでもエストレアを含め貴族には迎えがくる。
それをエストレアは嫌い、自分の足で軍部へと向かった。
軍服を着ている以上、自分は一人の軍人でしかない。
というのがエストレアの言い分だ。
それともうひとつ、エストレアが歩くのには理由があった。
「おはよう、お婆ちゃん、今日も早いですね」
「おお、エストレア君おはよう、今日も頑張ってねえ」
エストレアが声を掛けたのは開店準備をしていた雑貨屋を営む年老いた女性。
他にも様々だ。
「おはようございます、エストレアさま!」
「おはようございます!」
雑貨屋の老婆に手を振って別れた後は、皮の鞄を背負った少年、少女数名。
皆、魔術学校に通う子供達だ。
「おはよう皆、今日も元気だね、走って怪我しちゃダメだよ?」
「はーい!」
良い返事を返しながらも、子供達は綺麗に整地された石畳の道を駆けて行く。
それを見送るエストレアの顔に自然と笑顔が浮かんだ。
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