王都アレイズ

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エストレアは生まれ育ったこの街、王都アレイズが好きなのだ。 レンガや石造りの家屋が建ち並ぶ街並み、そこに住まう人々。 この街に流れる空気、音。 それら全てをエストレアは愛していた。 まだ十代の頃、エストレアが軍人になると決めたのはその全てを守りたいと願ったからだった。 それから何年たったか、エストレアは現在王都に11ある部隊の内の1つを任せられるまでに成長を遂げていた。 小休止を挟んだり、道草を食いながら歩くこと丁度30分。 「おはよう、皆揃ってる?」 街の最北端に位置するアレイズ城。 その敷地内に設けられた軍部。 エストレアはその中の1つ、11番隊を示すXIと書かれた旗の掲げられた隊舎内に足を踏み入れた。 「隊長が一番最後っすよ」 「皆揃ってます」 修練場に姿を表したエストレアを見て、金髪のぼさぼさ髪の青年と、肩まで茶髪を伸ばしている少女が言った。 金髪の青年の身長は約170前後、エストレアと同程度。 少女の方はエストレアの胸辺りまでしか身長がない。 ただ、少女の頭には普通の人間には無いものが生えていた。 猫耳だ。 少女は獣人族だった。 「時間には遅れてないだろ? ほら、ミーヤ寝るな、妹を見習いなよ?」 エストレアの視線は猫耳の少女の隣で立ちながらではあるが、今にも眠ってしまいそうな腰まで茶髪を伸ばしている少女に向けられていた。 「寝てないんじゃよう、寝そうなだけで」 この少女にも猫耳が生えていた。
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