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「なんで勉強会するって言ったのにアンタは勉強道具持ってこないのよ!!」
「はっ!俺は道具なんかに頼らねーんだよ!」
「渉君、咲夜さん…図書館では静かにしましょうよ…」
「ほっとけ羽流」
平日ということもあり図書室はそんなに混んでいなかった。強いて言えば僕たちと同じくテスト勉強に来ている学生が数名いるくらいである。
だからといって騒いでいいという理由にはならない、なんとかこの2人を止めないと…。
言い合う渉君と咲夜さん、それを無視して自分の勉強を進める隆太君。そこへ僕たちと同じ制服を着た一人の女子生徒が近づいてきた。
「あなたたちうるさいわよ」
「あ、委員長」
「こんなとこで何してるの?」
注意されたことを無視して我がクラスの委員長、朝比奈結衣(あさひなゆい)に普通に話しかける2人。
「勉強に決まってるじゃない、あなたたちがさっきから騒いでるせいで全然勉強に集中できないわ!」
「すみません結衣さん」
「天守君は悪くないわ、私が言ってるのはここの2人だから」
トレードマークのメガネをクイッと上げて渉君と咲夜さんを見る。2人はバツが悪そうに目を背けた。
「悪かったよ朝比奈」
何も答えない2人の変わりに隆太君が口を開く。
「!!?とっ戸崎君、あなたもいたのねっ!」
「俺も勉強したいからそのへんで勘弁してやってくれや」
「しっしょうがないわね!戸崎君がそこまでいうなら…もううるさくしないでよ」
そういうと結衣さんは自分の席へと戻った。
「すごいですね隆太君、あの結衣さんを丸め込むなんて」
僕の印象では結衣さんは自分が納得するまで言い続けるイメージが強い。
「別に普通のことだろ、さぁ勉強だ」
再び隆太君は教科書へと目を落とす。
「よし、僕も頑張らなくちゃ」
「ははーん」
「気づいた?渉」
「もちろん」
「あの委員長がね~」
「意外だな~」
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