380人が本棚に入れています
本棚に追加
ふふふ…羽流が帰れなくなったなら俺と一緒に帰ってくれるかもしれない!
そんな淡い期待を胸に俺は昇降口を目指した。
「あ、いた!おーい!優子さーん!」
「げっ…!またきたよ…」
空耳空耳。
「なんか羽流が帰れなくなったそうですよ」
「え…!?どうして?」
「無花果先輩やら那津やらに捕まって…って早!!」
俺の話を最後まで聞かずに優子さんは走っていってしまった。
「はぁ…やっぱり優子さんは羽流一筋だなぁ」
わかってたけどさ、そりゃあわかってたさ。
「ん?どした拳」
そのとき不意に声をかけられた。
「あ、渉」
声の主は渉。
「いや、なんでもないよ」
今までの俺の状況話したらどれだけ馬鹿にされるかわからん。
「そっか、完全にorz状態だったからよ…なんかあったら言えよ?俺たち友達だろ?」
その言葉が俺の胸には響き渡った。渉だけに。
「渉…」
やはり持つべきものは友だ。そうだ、恋人なんていなくても友達がいればそれだけで幸せじゃないか!
俺が渉の言葉に感動していたとき。
「ごめん!待った?」
「んにゃ、全然」
後ろから咲夜が歩いてきた。
「そんじゃな拳。なにがあったかわからんが元気出せ!」
「じゃあね拳」
「ああ…」
渉と咲夜は2人で帰っていった。
「どちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!」
沈みかけた夕日に拳の悲痛なる叫びが響き渡った今日この頃。
最初のコメントを投稿しよう!