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『ほら席に着けー』
がやがやと騒がしかった教室からは椅子を引きずる音が鳴り出す。
ドキドキ…
『喜べお前ら、今日転校生が来たぞー』
先生の言葉によって一度は静寂が訪れた教室から再び大歓声が聞こえた。
『せんせー!男の子ですかー!?女の子ですかー!?』
『男だ』
歓声がさらに増す。主に女子の声が高らかに響く。
駄目だ…緊張してきたな…。
『よし入れ』
先生に入室を促され、僕は教室の扉に手をかけた。
ガラガラ…
視線が痛いなぁ。
すぅっと一息吸ってから僕は前を向いた。
「初めまして、今日からこの1年3組でお世話になります。天守羽流(あまもり はる)です。早く皆さんと仲良くなれるように頑張ります。よろしくお願いします」
印象を悪くしないように笑顔で淡々と自己紹介を終える。
一瞬の静寂が空いて拍手が鳴り響いた。
はぁ…よかった。
どうやら僕は今日、この私立外ヶ咲学園に無事転校できたようだ。
第一印象は大事だからなぁ…。
「皆、仲良くするように。じゃあ天守は空いてる席に」
「はい、わかりました」
先生に言われたとおり窓側で一番後ろの席へと歩みを進める。
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