第1話

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かばんを机に掛けて筆入れを取り出す。すると前の席の男子生徒が僕に話しかけてきた。 「おっす!俺、華花渉(かはなわたる)よろしくな」 「こちらこそよろしく渉君」 こうして話しかけてもらえるととてもありがたい。 渉君は黒でツンツンした髪の毛が特徴的だ。 「でも、何でこんな時期に転校してきたんだ?」 この疑問はもっともだ。高校一年生の夏なんて普通はありえない。 「父の仕事の都合で…それに僕、この町に昔住んでたんですよ」 小学生のころだからほとんど覚えてないけど…。 「ふーん…そうなのか。まぁなにかあったら俺に言えよ」 「ありがとう」 最初に話したクラスメイトがいい人でよかった。 よし、この調子で隣の女の子にも話しかけてみよう! 「あのー…?」 「なに?」 薄く茶色に染まった髪をなびかせその子は僕の方を見た。 うわ!すごい綺麗な子だ…。 でも勇気を出さなきゃ。 「よろしく」 「死ね」 クラスの空気が凍りついた。
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