プロローグ

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"Dream house" そうキラキラとバイオレットに光る黒い看板を見て、ため息をついた。 「"夢の家"ねぇ・・・」 こだわりの深い意味をもつややこしい店名が増える中、随分と有りがちな名前にしたものだ。 「まぁ、今日はここでいいかしら」 女も三十路過ぎれば行きつけの店の一つや二つくらいあるし、酒に飲まれない飲み方なんてものも嫌でも覚える。 でも、たまには誰もあたしを知らない所で嫌なことを全部忘れるくらいガッツリ飲みたくもなるのだ。 どこでもよかったのだけれど、普通の居酒屋はラストオーダーが早いし、何よりスナックって酔っ払ったオッサン相手の商売だから、酔っ払った女が一人紛れててもなんともないでしょう?
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