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俺の要求も虚しく、
水谷はその後も、ひたすら俺の腕を握り潰すかのように掴んだまま奥に進んだ。
腕の締め付けられる痛みを我慢しながら奥に進むにつれて、
改めてココの図書室の本の多さに圧倒される。
糞デカい本棚は、目の錯覚のためか、なんとなく曲がって見えて
今にも棚の中から本が落ちてきそうな、そんなカンジ。
今地震が来たらたぶん死ぬんだろうな、なんて思いながら本棚の一番上に置かれた本を見上げた。
しかし、あまりにも遠くにあるせいか、俺の視力が悪いせいか、ほとんど題名すらはっきり分からない。
やっぱり、この図書室で
本を探すなんて絶対に無謀だ。
さっき水谷が使ってたあのパソコンは結局、
探したい本の題名が分かってさえ、場所が検索できるっつー便利なモノだ。
題名も分からない、"呪いの傷"についての本を探すなんて、どう考えたって無理に決まっている。
そう思いながら、俺が上を向いて目を細めていると
急に水谷が足を止めた。
「…うわっ!!!」
前を向いていなかった俺は、水谷が足を止めた事にすぐ反応出来ず
危うく、近くにあった柱に
ぶつかりそうになった。
「…チッ、危ッねぇなぁ…。
止まる時くらい言えよな…。」
…
『―――― ごめんなさい…。』
「…いやっ。
うん、いいけどさ…。」
水谷は、
何でもかんでもすぐに謝る。
だから何故か怒れないし、憎めない。
なんか、そういうのがセコい。
ズルい。
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