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猫やら烏が好き放題して、ゴミがそこら中に散らばり歩くのもやっとな汚い路地裏。そこを抜けた所に、これまた汚い謎の店がある。看板の前後が剥がれ落ちて『STAR』なんていう俺好みの名前に変わっているが、元は違う名前らしい。興味無いしSTARのほうがカッコイイから、店主に確認するつもりは無いが。
「いらっしゃい。待ってたぜ断罪者」
店内は外と大差無い汚さで、店主もまた汚い老人だ。何年生きてんだと聞きたくなるぐらいに深いシワをさらに寄せ、老人の笑顔もどき(営業スマイル)が俺を迎える。
「断罪者じゃなくて狂断罪者な。ジャッジメントじゃなくてバーサーカー。たった1文字で大分変わるから気をつけろよじじぃ」
店主の間違いを指摘しながらカウンターに近付く。そして今にも壊れそうな椅子に腰掛けて、
「また仕事を貰いに来たぜ」
と、一ヶ月ぶりの依頼を受け取りに来た。前回は割の良い仕事があったおかげで金事情は上手くいったが、体力的に休暇が欲しかったんだ。だから久しぶりになってしまった。
店主はカカカと笑い、
「おーおー助かるね。仕事なら溜まってるぜ」
と言った。
「冗談だろ?」
俺は苦笑し、身を乗り出す。
「じじぃ、俺みたいに呪いを受けたやつら山ほど抱え込んでんじゃねぇか。先々月辺りなんかにゃ仕事の取り合いにすらなったぐらい」
そう。ここ、STARは、呪いによって異能を得た者に仕事を回す店だ。警察やら軍じゃ対処しきれなかったり、犯罪行為スレスレだったりと際どい依頼ばかりだが、その分、金が良い。
大嫌いだがどうしようもない呪いの力を活用出来て、さらに金が入るという、俺にとっては素敵なシステム。
しかしそうなると当然、呪われているやつらがここに集まってくる。
そして依頼の数は限られている。
つまり、仕事が溜まるなんて考えられないのだ。
店主は言った。
「1番の働き者が死んでな」
それは、この業界では日常的な会話だ。
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