Crime-Destiny

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「へぇ。ちなみに誰が死んだんだ?」  1番の働き者と言っても心当たりが多過ぎて解らなかった。商売敵でしかないやつらに興味は無いが、一応聞いておく。 「死神だ」  老人は答えた。 「死神、ねぇ。……って、はぁ!?」  一瞬スルーしかけたが、ふと考えてみたら驚かずにはいられなかった。なにせ死神と呼ばれていたそいつは、不老不死の呪いをかけられていたからだ。死ぬなんて考えられない。 「呪いが解ける、なんて前例は聞いた事が無いんだが」  元エクソシストの知識でもっても、呪いが解けるなんて有り得ないと断言出来る。少なくとも俺が見てきた文献の中には呪いが解けた例なんてひとつも無かったからだ。 「解けたんじゃなくて、終わったんだ。やつの呪いは元々条件付きだった」  老人の答えに、俺は納得して脱力する。もし呪いを解く方法があるなら、是非教えて欲しかったんだがな。 「して、狂断罪者。依頼はどれくらい欲しい?」  話を切り替える老人。死神の最期がどんなだったのかも聞きたかったが、そんな野暮な事はドブに捨てよう。 「山ほどくれ」  俺は答える。 「前回お前さんには割の良い仕事を回してやったろ。一ヶ月で使い切れる額じゃなかったと思うが?」  老人の問いはもっともだった。 「ところがどっこい。確かに使い切っちゃいないが、維持費が大変でね。金はまだまだ欲しいのさ」 「例の彼女か」 「まあな」  例の彼女、というのは、俺が交際している人、という意味では無い。  とある少女が居て、そいつは事故で身寄りを失って、自分も入院生活を強いられるようになった。そいつの治療費を俺が払ってるという話だ。 「なら、悪いが今は割の良い仕事は無い。安いが安全な仕事を山ほど回してやるから、我慢しな」 「馬鹿言ってんじゃねぇよ。危険だが高い仕事を山ほど回せ」  俺には金が必要なんだ。そこは譲れない。  老人はひとつ溜め息を吐き、 「狂断罪者は血の気が多くて困る」  と言った。 「バーサーカーだからな」  当たり前だ。  俺は、バーサーカーの呪いを受けている。  断罪者として悪を裁き続け、命を奪い続ける事でいつしか理性を失い、狂い、ただの戦闘狂と化した愚者の呪いだ。  悪に対して強靭な戦闘力を得るが、悪を裁くためなら手段を選ばない。そして、悪を見たら狂暴化さえする、えげつない呪い。
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