16歳

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憧れの人と手を繋いで下校なんて、凄い夢見たシチュエーションなのにね。 いざってなると、嬉しさとか恥ずかしさとか色んな感情がごちゃ混ぜで。 凄く複雑だったのを覚えてる。 『凄い顔になってんぞ。』 そう言われて見上げた先には爽やか過ぎる慧チャンの笑顔があって。 また恥ずかしくなって俯いたんだよね。 道順を言った訳でもないのに、家まで送り届けてくれて。 『ありがとうございます。』て言ったら、 『お疲れ様、また明日な。』て。 帰って行く慧チャンを見ながら、 もっとちゃんと話せば良かったとか。 色々聞けば良かったとか考えてたら、立ち止まった慧チャンが振り返って言ったんだよ。 『俺、梓好きなんやけど、付き合わん?』 あの瞬間の記憶は、今も消える事なく私の中に残ってます。
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