1人が本棚に入れています
本棚に追加
2022年3月、俺達は『ある場所』に集まった。
「よ、久しぶりだな」
「暫くぶりだね」
「龍介、テメェ何新人賞なんか取ってやがんだ!!」
「アンタも人の事言えないでしょ?」
「全くその通りだな、お前もホームラン王貰ったくせに」
「みんなー、こっちだよー!!」
「コンニャロ!!」
「おまっ・・・・脇は反則・・・・」
「二人ともその辺りにしな。今日は『アレ』を見る為に来たんでしょ?」
そう。俺達は他愛ない話をする為でなくあることをする為に集まったのだ。
俺は何とか光太を押さえ付けると彩香と陽子の元へ向かった。
「ここにあるよ!!」
「・・・・長かったな」
俺が感慨に耽っていると、
「私は短く感じてるけどねー」
彩香が正反対の意見を言った。
「この際どっちでもいいんじゃね?結局は見ることになるんだから」
「確かにそうだね。さ、重労働は男に任せたよ?」
陽子がずいっと、傍に置いてあったスコップを二つ押し付けてきたので、
「「えぇ~!?」」
と俺と光太は声を揃えて否定の意を唱えた。
「さて彩香、行こうか?」
「お昼ご飯準備して待ってるから頑張ってねー」
「おっ、日ノ木さんの手作りか!!やる気出たぜ!!」
「待った」
俄然やる気が出たのは同感だが、スコップを握った光太の手を握って止めた。
「何だよ龍介、昼飯たべたくないってのか?」
「そうは言ってないが一つ提案がある」
光太の暫くの静寂の後、口角をつりあげた。
「なるほど。賭けだな?」
「ご明察。三回勝負でいいな?」
「望むところだ。・・・・さいしょはグー、じゃんけん」光太の掛け声に始まり、
「「ポン!!」」
最初は引き分けた。
「あいこで」
「「しょ!!」」
このじゃんけんは十分程続き、
「五月蝿い!!!!」
という陽子の叱咤でやむなく中断する羽目になった。
最初のコメントを投稿しよう!