その少女、殺し屋

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中は、黒い壁に黒い床、黒の家具が並べられ、とても広い。 そして、人々のざわめきで満ちていた。 ……と言っても、私はこのざわめき、嫌いじゃない。 子供、大人、男、女。 世代・性別を問わず賑わうこの場所に来ると、妙に安心するものだ ―――此処は、世界的な殺し屋組織『ホーンテッド』日本支部本部。 迅速な仕事、優秀な人材が多いことから、裏社会で知らない者はいないほど。 最近は表の人間も存在を知ってる者はいる、らしい。 ……と言っても、都市伝説程度の認識しかないのだが。 中へ進むと、私に気付いた人々は瞬時に道をあける。 その顔は恐怖で引きつっているようにも見えた。 私はそんな彼らを一瞥し、無言で歩みを進める。 ……この対応には、慣れているからだ。 すると、そんな中、私に話し掛ける二人の人物。 「あ、氷華~!お疲れ様!」 「お疲れ、氷華」 「……狂華、闇夜」 二人の男女は、手を振りながらこちらへ駆け寄ってきた。 彼らも、ホーンテッドの殺し屋だ。 私と同じ黒のセーラー服を身に纏い、ショートの茶髪を揺らす少女が、狂華(キョウカ) そして、黒のブレザーにネクタイ、長めの黒髪の青年が、闇夜(アンヤ) と言っても、私は彼らの本当の名は知らない。 狂華も闇夜も、そして氷華も、“彼”が付けたコードネームだ。 _
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