82人が本棚に入れています
本棚に追加
中は、黒い壁に黒い床、黒の家具が並べられ、とても広い。
そして、人々のざわめきで満ちていた。
……と言っても、私はこのざわめき、嫌いじゃない。
子供、大人、男、女。
世代・性別を問わず賑わうこの場所に来ると、妙に安心するものだ
―――此処は、世界的な殺し屋組織『ホーンテッド』日本支部本部。
迅速な仕事、優秀な人材が多いことから、裏社会で知らない者はいないほど。
最近は表の人間も存在を知ってる者はいる、らしい。
……と言っても、都市伝説程度の認識しかないのだが。
中へ進むと、私に気付いた人々は瞬時に道をあける。
その顔は恐怖で引きつっているようにも見えた。
私はそんな彼らを一瞥し、無言で歩みを進める。
……この対応には、慣れているからだ。
すると、そんな中、私に話し掛ける二人の人物。
「あ、氷華~!お疲れ様!」
「お疲れ、氷華」
「……狂華、闇夜」
二人の男女は、手を振りながらこちらへ駆け寄ってきた。
彼らも、ホーンテッドの殺し屋だ。
私と同じ黒のセーラー服を身に纏い、ショートの茶髪を揺らす少女が、狂華(キョウカ)
そして、黒のブレザーにネクタイ、長めの黒髪の青年が、闇夜(アンヤ)
と言っても、私は彼らの本当の名は知らない。
狂華も闇夜も、そして氷華も、“彼”が付けたコードネームだ。
_
最初のコメントを投稿しよう!