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二人は、ホーンテッドの殺し屋の中でも恐れられている私に、気軽に話し掛けてくれる数少ない人物だ。
「氷華はこれから報告?」
「うん。“彼”は部屋にいる?」
「いると思うよ~。あたし達もさっき報告してたから」
『ね~!』っと闇夜に同意を求める狂華。
闇夜もこくりと頷く。
彼らは私と違い、二人で仕事をこなす“バディー”だ。
なので、報告も二人一緒に行う。
「そうか。じゃあ私は報告に」
「行ってら~」
「行ってらっしゃい」
彼らに見送られ、私は奥の廊下を進む。
向かった先は、大きな黒い扉の前だ。
「………」
私は一度息を吐き、扉を三度ノックした。
すると中から中性的な男の声。
「はーい」
「……氷華です。ご報告に参りました」
「おう、お疲れ。入ってこい」
私は『失礼します』と声を掛け、扉をあけた。
―――そこには、さっきの広間同様、黒い壁と床、黒の家具に囲まれた部屋。
“彼”はその中央の大きな椅子に腰掛けて、にこりと笑う。
「お帰り、藍(アイ)。相変わらず仕事が早くて助かるよ」
「……ジョーカー。藍ではなく氷華とお呼び下さい」
「良いじゃん良いじゃん。名前ってものは大事にしなくちゃ、ね」
彼はハハッと笑い、私を中へ招き入れた。
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