世界中の誰よりも

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「会いたいのか」  会う気があったのかとでも言いたげな表情で言われて、うっと言葉に詰まる。 「そ、そりゃあ……緊張するけど紹介とか、して貰いたいなって気持ちはあるよ」 「結婚したら紹介する。安心しろ」 「け、結婚!……って、待って、なんかそれ順番おかしくない?」 「人それぞれだろ」  いやいやいや。 「け、結婚とか……する前に出来たらご紹介、頂きたいんですけど」 「そんな事言ってたらいつまでも結婚出来ないぞ」 「な、なんで」 「……」  そこで無言とかほんとやめてほしい。  大体さらりと結婚とか当たり前みたいに言ってるし……!  ヨウちゃんが一体何をどう考えているのか、時々ほんとにわからない。 (いや……いつもか)  ヨウちゃんはとにかく言葉が足りない。大好きだし、多分きっと勘違いでなければ、ヨウちゃんも私を好きで居てくれている、と思ってる。  けれど肝心な言葉ははぐらかされる事が多くて、そんな時はふと不安になったりもするのだ。離れている時間が多いぶん、本当はもっとわかりやすく、言葉が欲しいと思ってしまう。  こんな事を考えてしまう私は、欲深い人間なのかな。  小さくため息をつき、シートに背中を預け窓の外を眺めた。  きらめくシカゴの街並みを眺めながら、遠い日本を懐かしむ。 「ヨウちゃんの自宅から、まだ東京タワーは見える?」 「今のところはな」 「そっか、よかった」 「見えなくなったら用は無いとでも言いたげだな」 「はは、そんな事ないですっては。でもやっぱり見える方がいいじゃん」 「まあでもそのうち引っ越すけど」 「えっ、いつ?!」  驚いて振り返ると、ヨウちゃんがポケットから何かを取り出した。 「時間に追われて、渡すタイミングを逃した」 「え?」  突然目の前に差し出された小さな箱。  これって。
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