19人が本棚に入れています
本棚に追加
もういいや。
ベッドに寝転がり、四肢を投げ出す。
「…ん?」
顔を横に向けると、丁度視界にカレンダーが目に入った。
「…あれ…?今日って…、10月11日だったか…?」
そう言葉を発して1秒もかからずに理解した。
今日は杉田の誕生日だ。
「チッ…、クソ」
もう12日になるまであと1時間を切っている。
しかも杉田のラジオの収録なんか、絶対に長くなるに決まっている。
おめでとう、の一言も言えずに終わるのか。
恋人の誕生日を忘れてたなんて最低だな。
そんな自己嫌悪に陥る中、更に追い討ちを掛けるように脳内に浮かぶ考え。
…杉田は怒ってるんじゃないのか?
「ちょっと待てよ」
誰に言うわけでもなく呟いてから上体を起こし、昔のことを思い出す。
奴は友人関係にあった時も、誕生日が来ると『中村ー、プレゼントは?』などと図々しく聞いて来やがった。
そんな奴が、恋人同士である今、誕生日を忘れられて怒らないはずがない。
「やべぇな、こりゃ…」
杉田の機嫌を損ねるといろいろ面倒だ。
解決策を練っていると、玄関が開く音が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!