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突然現れた青年についてくいくと喫茶店前で二人は立ち止まった。
喫茶〔ツバキ〕
木の看板にはそう書かれていた。この喫茶店は二人が小さいころから通っており、高校生になった今でも通っている。
ツバキはここの店の店主である椿という女性が経営していることから名前の由来らしい。
「さ、どうぞ。お入りください」
青年はまるで自分の店のように扉を開けて言った。二人は指示に従い、中へと入った。
入った瞬間、ヒノキの匂いに包まれた。心が落ち着く。だが、誰かいる気配もない。
「椿さーん?」
小百合は声を張り上げた。だが、経営者の椿は出てくる様子もない。そもそも店そのものに人の気配がない。
「あれ、おっかしーな。いないのかな」
「…とりあえず、お座りください。説明をしなければなりません」
機械質な青年が言うと小百合は辺りを見渡しながら祐次と一緒に座った。
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