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青年は二人が座ったのを見ると表情は無表情のまま言った。
「はじめまして。尾形(おがた) 小百合様、相原(あいばら) 祐次様。私の名はウィルと申します」
「え、なんで私たちの名前を知っているんですか?」
青年、ウィルはふっと笑みを浮かべながら小百合の問いに答えた。
「私はこの世界の案内人、そしてあなた様方の役目を終えるまで傍(そば)にいる者。名前を知っていて当然のことです」
ウィルの笑みは爽やかだった。その笑みは徐々に消え、また無表情へと戻る。
「まず最初に。この世界はあなた様の“コエ”をお聴きして、ご案内させていただいています」
「“コエ”? …なんか聴いたことがあるな…」
それについてはウィルは答えなかった。祐次が言うと小百合は思い出した顔をした。
「あっ、私の携帯にもそんなことかかれてた気がする」
ウィルはコクリとうなずいた。
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