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「――い」
誰かの声が聞こえ、自分の体を揺さぶられている。誰か、起こそうとしているのだろうか。
「…り。…ゆり」
誰かが自分を呼んでいる。誰なんだろ。かすかな意識を取り戻そうとした時、大きな声が聞こえてきた。
「おい、小百合。起きろ!!」
「っ!」
「やっと起きたか」
小百合は目を見開かせて体を起こした。声の主は祐次だった。祐次の声は起こっているようだった。小百合は慌てて謝罪を述べた。
「ごごご、ごめん! 寝ちゃった!! 勉強中に…」
「なんで、勉強中なんだよ」
「はい?」
顔を上げると祐次は呆れていた。
「見てわからねぇの?」
「え?」
ちゃんと周りを見ろ、と祐次の一喝を食らわされると何も分からぬまま、小百合は辺り見渡した。
「俺らは勉強なんてしてねぇよ」
「えぇ?」
そっかぁ、なるほどー。だから、部屋じゃなくて外…。外?
「えぇぇぇッ!?」
なになになに!? どうなってるの!?
「なにここ!?」
「なにって俺らの住んでるところだ」
「いやいやいや、そうじゃない。なんでうちら、外にいるわけ!?」
じたばたという音が出そうな小百合は辺りを見渡した。混乱している。どうして外に?
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