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「さぁ? 俺もわかんね。気がついたら外で寝てた」
「…はぁ? 意味が良くわかんないよ。そもそも外で寝るわけがないでしょ。…帰ろうよ、なんか怖いよ」
小百合は祐次のすそにしがみ付いて言った。彼女の気持ちが伝わっているのか、祐次はそのしがみつく手を離さずうなずいた。
「なぁ、さっきまで暑かったのになんで風もなく、暑くもないんだ? あと人も車もいないし…」
「え」
確かに今は暑くない。人や車の気配もなく、風が全くもってない無風状態だ。
「なんか、違うんだ。気味が悪いよな」
「……うん…。帰ろう?」
「あぁ、そうだな」
小百合は不安な気持ちが募りながら、歩き出した。すると祐次が
「なんか、聞こえなかったか?」
「えっ!? やだよ、怖い…」
祐次が立ち止まると耳を澄ました。
―――……。
やはり、何か聞こえる。それも徐々に近づいてくる。どうやら小百合もその音に気がついて、体を震わしている。小百合は怖いものが苦手だ。ギュッとすそを握った。
――ァ…ァ…
何か近づいてくる。ずるずると何か引きずりながら近づいてくる。二人は辺りを見渡した。小百合は泣きそうな顔をしている。
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