STORY.②

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    要が連れてこられた場所は少し大きい部屋だった     「ここは小さなパーティーを開くときに使用いたします     ですが、今回は邸の者に紹介と言うことでこの場を設けました」     「……」     長岡にそう言われるもなんと答えて良いのかわからず無言になってしまった     「このファイルは貴方のです この邸のメイドから執事の顔写真入りプロフィール  旦那様、奥様、お嬢様の顔写真入りプロフィールもございます そしてこの邸の図面です」      そう言いながら長岡が持っていた分厚いファイルを要に手渡した     「…っ(お、重──) このお邸には何人ぐらいいらっしゃるんですか?」     「そのファイルには全員合わせて35人居ます   その半分以上は通いで来ているもの、敷地内にある使用人専用の寮に住んでいるものも居ます   それはすべてそちらのファイルに記してありますのでそちらをご覧ください」     「はい、わかりました」     一通り話が終わる頃に扉の外から足音や話し声が聞こえてきた     扉のノックとともに入ってきたのは朝会った相楽 拓海を先頭に次々と入ってくる 燕尾服、メイド服を着ている者や、非番だったのだろう私服の者もいる     要はその人数に呆然としていた     それと同時にこの人数を束ねている長岡に尊敬すら感じる     「無駄口を叩かず早くしない」     長岡の声とともに素早く動く使用人たち     ものの数秒で綺麗な列になった     「(凄い… まさに゙鶴の一声゙ってやつだな)」     そんな長岡に尊敬の意を込めるも要は背筋を伸ばし、長岡の言葉をまった     長岡は全体を見渡すと一歩前に出る     咳払いをしたあと言葉を発した     「おはようございます」     「「おはようございます」」     長岡の挨拶から始まり、今日1日の予定を言っていく長岡にみんながメモをとる  そんな要も予め持っていた手帳に書き入れていた     あとは使用人みんなからの報告を聞き自分の手帳に書き入れる長岡     最後に要の紹介で朝の挨拶的なものは終わり、次々と部屋から出ると早速自分の仕事に取り組む者や、帰る者もいた     皆が出た後長岡は 「では貴方の部屋に案内します」 と先に歩いていった     「はい」     素早く長岡の後について部屋を出る要     誰も居なくなったその部屋は扉の閉まる音だけが響いていた    
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